光線療法とは、紫外線の「免疫の働きを調節する作用」を利用した治療方法で、皮膚症状に効果のある波長(中波紫外線) を発生させるランプを使用して皮膚に直接照射する治療方法です。
アトピー性皮膚炎、乾癬 、尋常性白斑 、掌蹠膿疱症 、円形脱毛症、類乾癬、慢性苔癬状粃糠疹、菌状息肉症(皮膚悪性リンパ腫)などの皮膚病や、なかなか治らない難治性のしつこいかゆみに対し、これまでのぬり薬に加えて、光線療法を併用することで治療効果を上げることができます。
紫外線の中でも治療効果が高く、体への影響が少ない波長を使用しますので、副作用もほとんどなく、大変優れた治療方法です。
当院では、部分型(3機種)と全身型(合計4台)の光線療法機器を完備しており、大学病院と遜色ない治療体制を整えています。それぞれを使い分けることで、皮膚症状に対して最適な治療を行うことが可能です。
午前あるいは午後の診察時間内にご来院ください。処置室で治療を行います。
当院では、エキシマライトによるターゲット(部分)型の光線療法を取り入れています。紫外線の中でも特に治療に有効な308ナノメーターの波長のみを照射する治療です。
ターゲット(部分)型ですので、からだの一部に皮膚症状がある場合に適しています。数秒~十数秒ずつ皮膚に照射していきます。
治療が非常に短時間で済み、効果が高いことが特徴の最新型の光線療法です。
当院では、セラビームUV308 mini LEDを、令和4年12月に兵庫県で初導入しました。
当院では、ナローバンドUVB療法による全身型の光線療法を治療に取り入れています。京都大学や大阪大学附属病院に導入されているドイツ製「ワルドマン」を導入しています。姫路市初導入です。
紫外線の中でも特に治療に有効な311±2ナノメーターの波長のみを照射する治療です。
ワルドマンは照射中もセンサー管理により自動で照射量を適正に保つことができる唯一の全身型の照射治療機です。
全身型の光線療法ですので、一度に全身を照射することができるため、からだの広い範囲に皮膚症状がある場合や、体全体のかゆみがある場合に適しています。1回の照射時間は1分~2分で終了します。
欧米でも従来の紫外線療法であるプーバ(PUVA)療法に代わるスタンダードな治療法として確立しており、現在日本でも大学病院を含め全国で広く普及している治療方法です。
日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」では、光線療法はアトピー性皮膚炎における治療法の一つとされ、ぬり薬だけではなかなか良くならない方や、これまでの治療で副作用を生じている方に特に有効であるとされています。
アトピー性皮膚炎では、「かゆみと掻破(そうは)の悪循環(itch-scratch-cycle)」により、次第に病状が治りにくくなる傾向があります。光線療法はかゆみを抑える作用があり、通常のぬり薬や抗ヒスタミン薬の飲み薬ではおさまらないかゆみにおいて有効です。
さらに、光線療法により長期間にわたり寛解状態(病状が治まっている状態)を維持できるため、ステロイド軟膏の使用量や副作用を減らすことができます。
アトピー性皮膚炎の詳細はこちら乾癬では、ぬり薬だけでは治療効果が不十分な場合や、体表面積の10%(手のひら10枚分)以上の広い範囲に皮疹がある場合に、光線療法や全身療法(内服薬や注射薬)による治療を検討します。
米国では体表面積の5%(手のひら5枚分)以上に皮膚症状があれば光線療法を考慮してもよいとも言われています。光線療法は、内服薬や注射薬のように副作用を心配する必要がほとんどないため、多くの患者さんにとってまず試してみても良い大変優れた治療法です。
アトピー性皮膚炎と同様に、光線療法により長期間にわたり寛解状態(病状が治まっている状態)を維持でき、ステロイド軟膏の使用量や副作用を減らすことができます。
色素をつくる細胞であるメラノサイトが減少もしくは消失するために白斑が生じます。
白斑の治療方法としては、まずステロイドなどの塗り薬で経過を見ることが多いのですが、光線療法を併用するとステロイドの塗り薬単独の治療よりも効果があり、これまで主流であった紫外線治療であるプーバ(PUVA)療法に比べても、ナローバンドUVBによる光線療法は同等かそれ以上の効果があると考えられています。治療後に、プーバ(PUVA)療法よりも、白斑と周辺の健常部との色調の差が目立ちにくい利点もあります。
光線療法の反応が良い部位は、顔、頚部、体幹、四肢の近位部で、毛穴の周囲や白斑の周辺から色素再生が進みます。反対に、四肢の遠位部や大きな白斑では色素再生が起こりにくく、治療が難しい傾向にあります。
手のひら、足の裏にボツボツ、カサカサとした水ぶくれ(水疱)や膿(うみ)をもった膿疱(のうほう)が数多く繰り返し出現します。膿はありますが、細菌はいないため「無菌性膿疱」といいます。爪の下に膿疱ができたり、爪が変形したり、はがれて浮いてきたり、ぶ厚くなって盛り上がることもあります。
日本にはおよそ13万6千人の掌蹠膿疱症患者さんがいると推測されています。男女比がおよそ1:2と推定され、発症は30~50代に多い傾向があります。遺伝しやすいこともなく、妊娠や出産にも影響しません。
15~45%に掌蹠膿疱症性骨関節炎(PAO:pustulotic arthro-osteitis)という、首の付け根あたり(胸鎖骨関節)、首(脊椎)、腰(仙腸関節)などに関節痛が出ることもあります。SAPHO症候群の皮膚症状として掌蹠膿疱症を伴うこともあります。
発症する原因は不明ですが、症状を悪化させる因子としては、喫煙、扁桃炎、歯性病巣(歯周炎)、金属アレルギーが知られています。症状を良くするには、喫煙されている方は禁煙が必須で、パッチテストによる金属アレルギーの検査(詳しくはこちら→)や扁桃摘出なども検討します。
治療にはステロイド軟膏やビタミンD3軟膏のぬり薬に加えて、光線療法を併用することが有効です。それでも症状がなかなか治りにくい場合は、総合病院で顆粒球単球吸着除去療法(GMA)や、治療費が高額になりますが、グセルクマブ(トレムフィア:IL-23p19モノクローナル抗体)という注射薬での治療も検討いたします。
掌蹠膿疱症について詳しくはこちら光線療法にはかゆみを抑える作用がありますので、通常のぬり薬や抗ヒスタミン薬の内服に反応しないような、なかなか治まらないしつこいかゆみにおいて光線療法は有効です。
少し専門的になりますが、その作用メカニズムは、様々な抗炎症・免疫抑制作用により皮膚症状を改善させる効果、表皮内神経線維数の正常化、表皮ケラチノサイトにおける神経伸長因子(NGF)の発現の抑制や、神経反発因子Sema3Aの発現の回復作用があることが明らかにされており、その作用によりかゆみが改善します。
中波紫外線(UVB)を選択的に出力できる医療機器によって、脱毛部分に照射治療を行います。令和2年4月に保険適用となりました。3割負担で1回 1,020円です(初再診料、処方料などは別途必要です)。
週に1~2回治療します。1回の治療時間は頭部全体でも数分です。1ヶ所の場合、数秒です。
局所免疫療法と同様に、根気よく治療を継続していきます。
A1:「効果を得るためには、初めはできれば週に1~2回、少なくとも2週に1回、まずは2~3ヶ月程度治療されることをおすすめします。症状が落ち着けば、数週間に1回など徐々に間隔を空けていくことも可能です。当院は平日は夕方6時まで、土曜日も診療していますので、診療時間内に来院していただければ治療が可能です。」
A2:「皮膚の赤み、色素沈着(日焼け)、ほてり感、やけどを生じる可能性がありますが、従来のプーバ(PUVA)療法と比べて副作用を起こしにくい安全な治療法です。治療の初めは安全性を重視し、短い時間で弱めに照射をします。副作用が生じていないことを確認しながら、徐々に照射する時間を長くし、その人に合ったエネルギーで治療を行います。」
※皮膚がんと光線療法について
これまで主流であった、ソラレンという紫外線に敏感になる薬剤を塗布してから紫外線を照射するプーバ(PUVA)療法では、通算1000J/cm2の照射量で皮膚がんとの関連が指摘されています。
例えば、1回につき1J/cm2照射したとすると1000回かかり、これは週2回、毎週照射しても約10年かかる計算になります。
当院で行っている光線療法はソラレンという薬剤を使用しないので、プーバ(PUVA)療法と比較してさらに発がんリスクが少ないと考えられ、これまでに皮膚がんの発症頻度が有意に高くなったという研究結果はありません。
A3:「光線療法ができない方は、光線過敏のある方、光線で増悪する疾患をお持ちの方(膠原病、慢性光線性皮膚炎、多形日光疹、色素性乾皮症、種痘様水疱症、ポルフィリン症など)、タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)を外用中の方 、免疫抑制剤内服中の方(シクロスポリン, メトトレキサートなど)になります。くわしくはかかりつけの皮膚科専門医にご相談ください。」
A4:「目を保護するために専用の眼鏡をかけ、照射する部位の皮膚を露出していただきます。体の一部を治療するエキシマライトは数秒~十数秒ずつ照射していきます。全身を治療するナローバンドUVB療法の治療時間は1回あたり1~2分です。治療中に痛みは全くなく、温かい感じがします。」
A5:「保険適応の治療方法です。3割負担の方で約1,000円です。」
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