ほくろの多くは、3歳以降にできる後天性の母斑細胞性母斑(色素性母斑)という良性のできものです。
生まれつき、あるいは生後間もなくできる先天性のほくろもあります。
足の裏や爪にもできやすいことで有名な悪性のほくろは、メラノーマ(悪性黒色腫)といい、悪性度の高い皮膚がんです。
ほくろが良性か悪性かを判断するため、あるいは、ほくろ以外のできものと区別するために必ず行う検査です。
ダーモスコピーでは、皮膚表面の乱反射を抑えながら、できものを明るく拡大してくわしく観察することができます。ほくろは体のできる場所(顔、体幹や四肢、手のひらや足のうら)によってダーモスコピー像のパターンが違います。
ダーモスコピーを用い、できものの「構造」と「色」 を把握し、「表皮のかたち」と「増殖している細胞が産生する色素の分布パターン」を認識することができます。皮膚科医には必須の検査器具です。
ダーモスコピーについてほくろなどの明らかな良性のできものではない場合に、皮膚生検により詳細な検査を行うことを検討します。
皮膚生検とは、局所麻酔の後、メスなどでできものの一部を採取する検査です。採取した組織は、顕微鏡で細胞レベルで観察する検査(病理組織検査)を行い診断します。検査結果が判明するまでには約1~2週間かかります。
ただし、メラノーマ(悪性黒色腫)を強く疑う場合には、皮膚生検を行わずに基幹病院をご紹介させていただきます。
ダーモスコピーで明らかに良性のほくろと診断できる場合には、炭酸ガスレーザーによりほくろを焼灼する治療が可能です。手術と違って、縫い傷にはなりません。
当院ではなるべく傷跡が最小限になるように、細心の注意をはらい丁寧にレーザー治療を行うことを心がけています。
炭酸ガスレーザーについてメスなどで外科的にほくろを切除します。
手術後に線状の傷あとが残りますが、切除したほくろの病理組織検査をすることができる利点があります。できのものの種類・大きさ・部位(顔、頭、耳、首、陰部など)によっては病院にご紹介させていただきます。
炭酸ガスレーザーあるいは手術による切除、どちらの治療方法が良いかは、それぞれのメリット、デメリットをご説明の上、患者さんとよくご相談して決定いたします。
いわゆる「ほくろのがん」で 、皮膚の悪性腫瘍の中でも悪性度の高い腫瘍です。足の裏や爪にもできやすいことで有名です。
良性のほくろが悪性のメラノーマになることはないと言われていますが、メラノーマの始まりはほくろとよく似ていますので、大きさや色調に変化があるほくろは注意が必要です。
ダーモスコピーで観察し、メラノーマの可能性が高い場合は直ちに切除します。ほくろかメラノーマか、どちらのパターンかはっきりしないときは定期的に注意深く経過を観察し、大きくなるようであれば切除します。
早期に発見し、早期に治療することが非常に大切です。
メラノーマを早期発見するために、ご自身でできるほくろのチェック方法があります。
メラノーマにはABCDEの特徴があります。
【A(Asymmetry:非対称)】左右非対称の形。
【B(Border:境界)】辺縁が不規則。縁が不鮮明。
【C(Color:色調)】色にむらがある。黒色、茶色、黄褐色が混ざったり、白色、赤色、青色を呈する場合もあります。
【D(Diameter:直径)】直径が6mm以上の大きさ 。ただし、それより小さい場合もあります。
【E(Evolving:進行)】大きき、形、色が変化している。
もし、ABCDEのいずれかに当てはまるほくろがあれば、メラノーマの可能性があります。ただし、必ずしも当てはまらない場合や、ほくろには見えないような黒くない(無色素性)メラノーマのこともありますので、もし気になる皮膚のできものがあるようでしたら、なるべく早めにお近くの皮膚科専門医を受診されることをおすすめします。
皮膚がんに罹患する患者数は、この20年間で3.8倍になりました。
2017年における皮膚がんの死亡者数は1583人と報告されています。その中でもメラノーマ(悪性黒色腫)は948人と60%を占めます。
進行期のメラノーマに対する新規治療が可能になって以降、日本、皮膚がんが多くて有名なオーストラリア両国ともにメラノーマによる死亡率は減少傾向となっています。
悪性のほくろであるメラノーマ(悪性黒色腫)のほかにも、顔にできやすい基底細胞癌も見逃してはいけない皮膚の悪性腫瘍です。ダーモスコピーで観察するとその特徴がよくわかります。
その他、頻度の高い皮膚の良性のできものとして、脂漏性角化症、老人性色素斑(日光黒子)、皮膚線維腫や血管腫なども、ダーモスコピーで判断することが可能です。
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