
本当に水虫?
なかなか治らない皮膚症状に対して、ぬり薬をぬり続けていませんか?
水虫と似た症状は多いため、水虫だと思っているものが水虫ではない場合もあります。逆に、水虫ではないと思っているものが、実は水虫菌(真菌:カビ) が原因の場合もあります。
足や爪にできる水虫は有名ですが、頭や体など、足以外の場所にも水虫菌により皮膚症状が出ることもあります。
患者さんへのお願い
ご自身の判断で水虫薬をぬる前に、皮膚科で水虫の検査を受けて下さい。
水虫の診断がつく前に薬をぬってしまうと、検査で水虫菌を確認できず、診断がつかなくなってしまいます。
皮膚に元から水虫菌がいなかったのか、ぬり薬で抑えられているため水虫菌がいないように見えるのか判断ができず、正確な診断や治療が難しくなります。
水虫薬をぬる前に検査をして、顕微鏡で水虫菌を確認してから治療を開始することが非常に大切です。
手持ちの水虫薬をぬらずに、来院してください。
皮膚や爪から角質を採取して、顕微鏡で水虫菌を確認した上で適切な治療を行います。
水虫菌がいる場合には、ぬり薬や飲み薬の抗真菌薬で治療します。皮膚に症状を起こす真菌(カビ)には、白癬菌、カンジダ、マラセチアがあります。抗真菌薬には多くの種類がありますが、真菌の種類に応じて適切な薬剤を選択する必要があります。
当院では、どの薬剤がどの菌に効果が高いかを考えて処方いたします。
爪に白癬菌やカンジダ菌が感染することで、爪が白く濁り、分厚くなり変形します。
爪の肥厚に伴い靴を履くときの痛みや歩行困難などが出現します。
治療が適切に行われない場合は、ご家族への感染など周囲の方々へ菌を拡散させてしまいます。
内服薬による治療が最も効果があります。ただし、お薬により肝酵素が上昇することがあるため、定期的に血液検査を行ないながら治療を行います。最新のネイリンという薬では、1日1錠12週間で内服治療が終了となります。肝酵素の上昇が心配な方には、ご相談の上、ぬり薬での治療も可能です。
参考ホームページ:つめ水虫.jp
フットケアとは文字通り、フット(足)をケアすることです。足の皮膚症状、例えば水虫、たこ・うおのめ、まき爪、靴ずれなどを治療することもフットケアの一つです。
水虫を放置すると、水虫で弱った皮膚から細菌が侵入して足に感染症を起こし、蜂窩織炎(ほうかしきえん)といって熱が出て足が赤く腫れ上がることもあります。
特に糖尿病のある方は、フットケアが大切です。
下肢切断に至る患者さんの半数以上は糖尿病の患者さんと言われています。糖尿病や動脈硬化がある場合には、足の血行が悪くなり、足の指が黒く壊死する(壊疽になる)こともあり、その場合には足の切断が必要になることがあります。
糖尿病の網膜症などで、視力が低下している場合、ご自分で十分に足を観察できないこともあります。糖尿病の神経障害などで、足の感覚が鈍い場合、痛みにも鈍感になるため、症状がかなりひどくなるまで気づかないこともあります。
糖尿病などの合併症があったり、免疫力が下がった人では、傷口が治りにくかったり、感染症にかかりやすくなるため、壊死性筋膜炎という命の危険をともなう重症の感染症になることや、足だけでなく細菌が全身にまわり致命的になる場合もあります。
このように水虫、糖尿病、動脈硬化などが元となり、足から感染を起こして重い全身症状に進行する場合があります。水虫などの足の皮膚症状を放置せずにしっかりと治療し、糖尿病、高血圧、高脂血症などの内科的な治療もしっかり行い、フットケアでご自分の足をいたわり大切にしましょう!
☆フットケアのポイント
1.こまめに足を観察する
2.ケガ防止のため、靴下をはく
3.足の指の間と足の裏まで石けんで洗い、足を清潔に保つ
4.爪の手入れをして、深爪をしない
5.湯たんぽなどのやけどに注意する
6.足に合う靴をはく
Q1:「水虫は治りませんか?」
A1:「水虫の診断が正しく、きちんと治療すれば治ります。
まずはご自身の判断で水虫薬をぬらずに、皮膚科で検査を受けて下さい。
水虫の診断がつけば、毎日、基本的には1日1回入浴後に足の指の間はもちろん、足の裏全体から側面にまでしっかりと薬をぬってください。ご自身の判断でぬり薬を中断するのではなく、皮膚科医の診察を受け、中止の時期をご相談してください。不十分なぬり方や、中途半端な状態で治療を中断してしまうことで、一旦症状は治ったように見えても、後日再発する可能性があります。ご家族にも水虫を疑う症状がある場合には、家族の方も診察を受け、家族全員でしっかりと治療することが大切です。」
Q2:「爪の水虫に対する飲み薬は『肝臓に悪い』と聞いたのですが。」
A2:「飲み薬を内服したすべての患者さまの肝臓が悪くなるわけではありません。
当院では定期的に血液検査を行い、肝臓の数値をチェックしながら内服薬を処方いたしますのでご安心ください。もちろん、元々肝障害のある方や、ご希望の方にはぬり薬のみで治療を行うことも可能です」
Q3:「のみ薬を飲んでいますが、爪水虫が治らないのですが?」
A3:「まずは、本当に爪水虫かどうかの診断が大切です。
爪水虫に見えて爪水虫ではない場合、乾癬の爪症状、扁平苔癬、外力による変形、厚硬爪甲、爪甲鉤彎症などの可能性があります。顕微鏡で菌を検出せずに治療を開始した場合、このように元々の爪の症状が爪水虫以外であった可能性があります。あるいは爪水虫を起こしている真菌が白癬菌ではなくカンジダの場合、内服薬の種類によっては効果が低いものもあります。また、内服薬もすべての爪水虫に100%効くわけではありませんので、内服薬の効果が出ていない可能性もあります。このように原因は色々と考えられますので、皮膚科医師にご相談ください。」
Q4:「水虫で皮膚科を受診するのが恥ずかしいのですが。」
A4:「日本にはおよそ1200万人の水虫の患者さんがいると言われています。
プール、銭湯、スポーツジム、自宅など、あらゆる場所で水虫に感染する機会があります。皮膚科には水虫の患者さまが連日多くいらっしゃいますし、決して恥ずかしいものではありませんのでご安心ください。
足の水虫や爪水虫だけでなく、たむし(股部白癬)や 体部白癬など、真菌(カビ)が皮膚に感染すると色々な場所に症状が出ます。ご自身で診断することは難しく、ご家族など周囲に方にも感染を拡大させる可能性がありますので、気になる症状があれば、お近くの皮膚科にご相談して下さい。」
帯状疱疹は、加齢にともない増加し、特に50歳を越えると急激に発症する人が増えます。
50歳以上の帯状疱疹の発症率は年々高くなっており、80歳までに3人に1人がかかります。
水痘帯状疱疹ウイルスというヘルペスウイルスが原因です。
このウイルスに初めて感染すると水痘を発症します。
水痘にかかった後、ウイルスは体の中に潜伏していますが、加齢・ストレス・過労などで免疫力が低下すると、体内に潜んでいたウイルスが再び活動をはじめ帯状疱疹を発症します。帯状疱疹の予防には、水痘ワクチンが有効なことがわかっています。2016年4月に50歳以上の方の帯状疱疹予防に水痘ワクチンが適応拡大されました。
身体の左右どちらか一方に、神経に沿って帯状に症状が出ることが特徴です。
頭や顔、体、手足など全身のどの場所にも症状が出ます。初めはチクチク、ピリピリした痛みが出ます。初めは痛みだけで帯状疱疹かどうかわからないことも多くあります。
その数日〜5日後に痛みがある部分に赤い発疹や小さな水ぶくれが出てきます。発疹や水ぶくれが出てくれば帯状疱疹とはっきりわかるようになります。免疫が低下した方では、汎発疹といって、水ぼうそうのように全身に発疹が出る場合もあります。
水ぶくれはやがてかさぶたになり治っていきますが、重症の場合は皮膚潰瘍になり治るのに長時間かかる場合もあります。
通常、皮膚症状とともに痛みも徐々に治っていきますが、ウイルスによる炎症で神経がひどく傷つくとその後も痛みが長引く場合があります。
60歳以上、皮膚症状が重症、夜も眠れないほどの痛みがある、という人は痛みが長く残る可能性が高いため注意が必要です。
2016年4月から、50歳以上の方に帯状疱疹の予防接種が承認されました。
帯状疱疹を発症して、長い間にわたり痛みに悩まされないためにも、帯状疱疹の予防接種をおすすめします。 詳しくはこちらをご参照ください。
ご希望の方は、お電話(079-239-7716)でご予約下さい。
Q1:「周りの人にうつりませんか?」
A1:「帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスです。水ぼうそうにかかったことのある人は、すでに体内にウイルスがいますのでうつりません。
水ぼうそうにかかったことのない乳幼児には水ぼうそうを発症させる可能性がありますので、小さなお子さまとの接触は避けましょう。
妊婦さんの水ぼうそうは重症化することもあるため、水ぼうそうにかかったことのない妊婦さんにも接触しないように注意してください。」
Q2:「水ぶくれは破った方がいいですか?」
A2:「水ぶくれを破ると、ウイルスとは別に細菌が感染することあります(2次感染)。細菌感染を起こさないようにするためにも、患部を触らないようにしましょう。」
Q3:「帯状疱疹は再発しませんか?」
A3:「帯状疱疹は基本的に1回しか発症しないことが多いですが、発症後に長期間経過した場合や、免疫が低下した方など、まれに2回以上発症する方もおられます。」
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