じんま疹は、5人に1人が経験する、日常でよくある病気です。
じんま疹はアレルギーで生じると思われがちですが、食べ物や薬などのアレルギーが原因のじんま疹はわずか5%程度にすぎないといわれます。70~80%のほとんどが原因不明(特発性)のじんま疹です。
それ以外にも物理刺激などでじんま疹が生じます。じんま疹と一緒に、呼吸苦、腹痛、気分不良があると、アレルギー性の可能性がより高いといわれます。
じんま疹と湿疹はちがいます。
じんま疹の発疹は膨疹(ぼうしん)といい、「24時間以内に消える(出たり引いたりする)」あるいは「短時間に形が変わる」ことが特徴で、湿疹は短時間に出たり引いたりしません。
じんま疹の70~80%を占める特発性じんま疹は、大きく2つに分かれます。
発症から6週間以内のじんま疹です。かぜなど急性の感染症などがきっかけの場合もあります。
6週間以上くり返すじんま疹です。
原因がわかっているじんま疹であれば、その原因を避けることが治療になりますが、特発性じんま疹は原因が不明なので、原因を避けることができません。体調を整え、ストレスをためず、しっかりと定期的に皮膚科を受診し、主治医と相談しながら内服薬を調整していくことが大切です。
ただし、当初は原因がわからなくても、くり返すうちに原因が明らかになる場合もあります。
以上のことを治療方針の基本として、責任を持って診療に当たります。症状改善にむけて一緒に頑張りましょう!
じんま疹は出たり引いたりすることが特徴ですので、来院された時には引いてしまっていることも多くあります。
患者さんのお話をお伺いし、出ていた皮疹がじんま疹であることを推測することもできますが、もし可能であれば携帯電話やスマートフォン、デジカメなどで皮疹の写真を撮ってきていただけると、じんま疹かどうかの診断に大変役に立ちますのでよろしくお願いいたします。
じんま疹のうち、原因が明らかでない「特発性じんま疹」が全体の約70~80%を占めます。一方、食物などが原因となるアレルギー性のじんま疹は5%程度にすぎません。小児の場合、食物アレルギーが原因のじんま疹の頻度はやや高くなり、10歳代で10%程度といわれます。
反対に食物アレルギーの症状としては、90%程度にじんま疹をはじめとする皮膚症状が出現するため、じんま疹=食物アレルギーと考えられているのかもしれません。
つまり、食物アレルギーの場合はじんま疹などの皮膚症状が出ることがほとんどですが、じんま疹が出現した場合にその原因が食物アレルギーであるという可能性はかなり低いのが現状です。
以上のようにじんま疹は原因不明の場合が多いことは、ご理解いただけると思いますが、医師としては本当に原因不明のじんま疹かどうかを見極めなくてはいけません。
中には、運動した後にだけ出る、サーファーである、血液型がA型かO型で犬を飼っている、などがキーワードのめずらしいじんま疹もあります。
くわしくは医師にお尋ねください。
その他の代表的なじんま疹についての説明です。
皮膚表面が機械的に摩擦や擦過された部分にじんま疹が生じます。服や物が擦れやすい前腕に線状のじんま疹が生じることが多いです。特発性に次いで多いじんま疹です。
冷たい水や、冷たい空気など、寒冷刺激により出現するじんま疹です。アイスキューブ試験で検査します。
日光が当たった皮膚に一致してじんま疹が出ます。日光の中の可視光線が原因のことがほとんどですが、紫外線が関係している場合もあります。日焼け止めは紫外線をブロックするものなので、基本的には効果がありません。
10~20歳代に多く、入浴、運動、精神的興奮など体温上昇の際に出やすい点状のじんま疹です。ピリピリとした症状と伴うこともあります。汗に対する過敏がある場合とない場合があります。
原因のものが接触した部分だけに出るじんま疹です。ラテックス、薬剤(イソジンの消毒薬など)、毛染め、歯みがき粉、日用品などが原因になります。
アスピリンなどの非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs:ロキソニンやボルタレンなどの痛み止め、解熱薬)でじんま疹が出ます。
お薬で起こりますが、アレルギーではありません(不耐症といいます)。アスピリンじんま疹とアスピリン喘息を合わせて、アスピリン(NSAIDs)不耐症といいます。痛み止めを飲むとじんま疹がでる方は、お薬のアレルギーでじんま疹が出ている可能性と、アスピリンじんま疹(不耐症)の可能性が考えられます。
小麦(パン・麺類など)やエビ、イカ、カニ、果物(ブドウなど)を摂取後2~3時間以内に運動した時にだけ出ます。運動による消化管での消化能力低下が関与しています。じんま疹に加えて高率に気道症状、腹部症状、ショック症状を示します。10歳代に多く出ます。解熱鎮痛剤を内服すると、より症状が出やすくなります。
造影剤や、室温で放置したサバやマグロ、タケノコ、豚肉などのヒスタミンあるいはその類似物質を含む食品で誘発されます。室温に放置するとヒスチジンからヒスタミンが生成されるためです。
その他にも温熱じんま疹、遅発性圧じんま疹、水じんま疹、振動じんま疹というまれな物理性じんま疹、アドレナリンじんま疹もあります。
通常のじんま疹より、皮膚の深いところで起こったじんま疹で、まぶたや口びるによく出ます。遺伝性の場合もありますがごくまれで、ほとんどは遺伝性ではありません。通常のじんま疹と同じように、特発性(原因不明)がほとんどですが、降圧薬や糖尿病の内服薬などが原因となる薬剤性の場合もあります。
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