原因となる特定の食べ物
によって免疫が過剰に働き、
有害な症状が引き起こされる
疾患です。
原因となる食物を摂取した後、多くは1時間以内にじんま疹を生じます。
じんま疹とは、かゆみを伴う一過性の(24時間以内に自然に消える)皮疹です。
症状が重症な場合は、呼吸器症状(呼吸困難)、循環器症状(血圧低下、意識障害)、消化器症状(腹痛、下痢、嘔吐)を伴い、アナフィラキシーを生じます。
アナフィラキシー症状は命に関わるため、速やかに救急車などで病院を受診し、アドレナリン投与が必要になります。
【乳児~幼児】
鶏卵、牛乳、小麦、そば、魚類、ピーナッツなど
【学童~成人】
甲殻類、魚類、小麦、果物、そば、ピーナッツなど
鶏卵、牛乳、小麦、大豆などは寛解しやすい(食べられるようになる)ですが、 その他の食物は寛解しにくい(食べられるようにならない)傾向にあります。
特定の食物を摂取した後、運動負荷によってじんま疹やアナフィラキシーが誘発されます。
発症年齢は10~20代に多く、食後1~4時間(多くは2時間)以内の運動により発症することが多いとされています。
原因となる食物は小麦、エビ、カニ、イカ、カキ、セロリ、果物などがありますが、日本では小麦中に含まれるω-5グリアジンによることが多いと報告されています。
アスピリン内服により症状が増悪・誘発されやすくなります。
診断には、誘発試験が必要です。
果物や生野菜を食べた後、数分以内に口やのどにかゆみ、しびれ、むくみが生じます。
果物や野菜の抗原が、口の中の粘膜に触れて生じます。
果物や野菜の抗原は、花粉の抗原と構造が似ているためにこのような症状が生じます。
種 | 食物(野菜・果物・ナッツ類) |
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スギ・ ヒノキ |
トマト |
ハンノキ | バラ科(リンゴ・モモ・ナシ・ビワ・サクランボ・イチゴ)、 ウリ科(メロン・スイカ・キュウリ)、 大豆(豆乳)、キウイ、オレンジ、ゴボウ、やまいも、マンゴー、 アボカド、ヘーゼルナッツ、 ニンジン、セロリ、ジャガイモ、 トマト |
シラカンバ | バラ科(リンゴ・モモ・ナシ・ビワ・サクランボ・イチゴ) ヘーゼルナッツ、クルミ、 アーモンド、ココナッツ、 ピーナッツ、 ニンジン、セロリ、 ジャガイモ、キウイ、オレンジ、 メロン、ライチ、 香辛料(マスタード、パプリカ、コリアンダー) |
カモガヤ | メロン、スイカ、トマト、 ジャガイモ、玉ねぎ、オレンジ、 セロリ、キウイ、米、小麦 |
ブタクサ | スイカ、メロン、ズッキーニ、 キュウリ、バナナ |
ヨモギ | セロリ、ニンジン、レタス、 ピーナッツ、クリ、ピスタチオ、 ヘーゼルナッツ、ヒマワリの種、 ジャガイモ、トマト、キウイ、 香辛料(マスタード、コリアンダー、クミン) |
ラテックス抗原と果物や野菜に含まれる抗原との交差反応性に起因し、ラテックスアレルギー患者の30~50%に発症します。
リスクが高い食品としてアボカド、クリ、バナナ、キウイがあります。
診断は、問診、皮膚試験、特異的IgE抗体検査を参考とし、必要に応じて食物経口負荷試験で確定します。
ハイリスク群 | バナナ、クリ、アボカド、キウイ |
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それ以外 | リンゴ、ニンジン、セロリ、メロン、ジャガイモ、トマト、イチジク、パパイヤ、マンゴー、パイナップル、モモなど |
じんま疹が出た場合に、原因は必ずしも食物アレルギーではありません。
多くの場合、じんま疹と食物は関係ありませんが、一部は食物が原因であるじんま疹です。ある統計では食物が関与するじんま疹は20人に1人といわれます。
食物アレルギーかどうかは、特定の食物を摂取するたびにじんま疹が誘発されるかどうかが大切です。
しかし、食物の形態(生・加熱などの調理方法や加工状態)や、摂取した量、ご自身の体調などによって、症状が生じる場合や生じない場合もあります。
食物アレルギーの可能性が疑われる場合に検査をします。
血液検査で各食物の特異的IgE抗体をチェックします。
ただし、この検査で食物アレルギーの有無のすべてを判定することはできません。
偽陽性(実際は食べることはできるのに、検査で陽性に出てしまう)の場合や、 反対に、偽陰性(食べるとじんま疹が出るのに、検査で陰性になってしまう)の場合もあります。
乳幼児で卵白や牛乳で検査をする場合など、プロバビリティーカーブも参考にします。
※当院では小児の血液検査は行なっていませんので、小児科でご相談ください。
特異的IgE抗体価(卵白、牛乳、小麦、ω-5グリアジン、ピーナッツ)によるプロバビリティー(食物経口負荷試験の症状誘発の可能性)が報告されています。
卵白・牛乳・小麦では、低年齢ほど陽性的中率が高くなります。
コンポーネントとは、アレルギー原因物質から抽出されるタンパク質の中の単一タンパク質のことです。
食物中で特異的IgE抗体が結合するそれぞれのタンパク質をアレルゲンコンポーネントといいます。
コンポーネント検査では、食物アレルギー症状と関連が強いタンパク質(アレルゲンコンポーネント)を検査することができます。
現在、保険適用で測定できるコンポーネント検査は下記があります。
精製された抗原液や、食物そのものを使って、前腕の皮膚に針を刺します。
皮膚にごく微量の抗原が吸収されますので、その部分に膨疹(じんま疹)が誘発されるかを確認する検査です。
適応となる場合には、病院にご紹介させていただきます。
食物アレルギーの最も確実な診断方法です。
実際に少量から食物を摂取して、じんま疹などの症状が誘発されるか確認します。
ただし、重篤な食物アレルギーの場合は、アナフィラキシーが誘発される場合があるため、緊急対応可能な体制が整った病院にご紹介の上、実施します。
“最も確実”ということは、「食べてもじんま疹などの症状が出ない食物は、食物アレルギーではない」という意味でもあります。
【食物経口負荷試験 実施施設一覧】
食物アレルギー研究会(https://www.foodallergy.jp/ofc/)
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