手のひら(掌)、足の裏(蹠)にボツボツ、カサカサとした水ぶくれ(水疱)や膿(うみ)をもった膿疱(のうほう)が数多く繰り返し出現します。膿疱はその後、褐色のかさぶたになります。
膿はありますが、細菌はいないため「無菌性膿疱」といいます。
爪の下に膿疱ができたり、爪が変形したり、はがれて浮いてきたり、ぶ厚くなって盛り上がることもあります。
手足を超えて、足背、膝、下腿、臀部、肘などにも皮疹がみられることがあり、掌蹠外病変と呼びます。
日本にはおよそ13万6千人の掌蹠膿疱症患者さんがいると推測されています。
男女比がおよそ1:2と推定され、発症は30~50代に多い傾向があります。
遺伝しやすいこともなく、妊娠や出産にも影響しません。
発症機序として以下のように考えられています。
掌蹠膿疱症の患者さんは、扁桃常在菌に対する免疫寛容機構が破綻しているため、扁桃常在菌に対して過剰免疫応答します。その結果、扁桃B細胞が活性化され、皮膚の共通抗原性のあるHSPなどに対する抗体産生が誘導され、皮膚で膿疱が形成されます。一方、扁桃T細胞も活性化されて、掌蹠の皮膚へホーミングすると考えられています。
喫煙、扁桃炎、歯性病巣(歯周炎)、金属アレルギーが知られています。
症状を良くするには、喫煙されている方は禁煙が必須で、パッチテストによる金属アレルギーの検査や扁桃摘出なども検討します。
掌蹠膿疱症の患者さんの15~45%に、掌蹠膿疱症性骨関節炎(PAO:pustulotic arthro-osteitis)という、首の付け根あたり(胸肋鎖骨関節)、首(脊椎)、腰(仙腸関節)などに関節痛が出ることがあります。SAPHO症候群の皮膚症状として掌蹠膿疱症を伴うこともあります。
PAOとの関連因子として、50歳未満、爪病変の併存、金属アレルギー既往の併存が指摘されています。
ステロイド軟膏やビタミンD3軟膏などの塗り薬を使用します。
カサカサとした落屑や角化が目立つ場合には、保湿剤やサリチル酸ワセリンなどを併用することもあります。
既存の治療で十分な効果が得られず、慢性に経過する中等度以上の患者さんや、関節症状を合併している場合などに、生物学的製剤(注射薬)での治療を検討します。
トレムフィア(グセルクマブ:ヒト型抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤)は、2018年11月に発売された生物学的製剤です。掌蹠膿疱症の好中球の活性化や膿疱形成にかかわるTh17細胞の維持・増殖に関与しているIL-23を阻害することで、掌蹠膿疱症患者さんの症状を改善させる効果があります。
2023年5月にはスキリージ(リサンキズマブ:ヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤)、2023年8月にはルミセフ(ブロダルマブ:ヒト型抗ヒトIL-17受容体Aモノクローナル抗体製剤)も保険適用となりました。
炎症の原因となる血液中にある活性化した白血球(顆粒球や単球)を選択的に除去し、炎症を軽減させます。
片方の腕から血液をポンプで吸い上げ(脱血)、活性化した顆粒球や単球のみが吸着されるカラムに血液が通った後、反対側の腕から血液を体内に戻します(返血)。
禁煙が大切です。
喫煙を継続している患者さんでは、治療効果が低いことがわかっています。
病巣感染(扁桃炎、歯性病巣)の治療、金属アレルギーのチェック(金属パッチテスト)と金属の除去を行います。
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