日本人の10人に1人は単純ヘルペスウイルス(HSV:herpes simplex virus)に感染しています。
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)、2型(HSV-2)の感染により口唇ヘルペスや性器ヘルペスを発症します。
ピリピリ、チクチクするような違和感やかゆみが生じた後、軽い痛みを伴う水ぶくれができる病気がヘルペスです。
一度感染すると、生涯にわたって神経に持続感染(潜伏感染)するウイルスです。
初感染では2~10日後に症状が出ますが、症状が出ない(不顕性感染)ことがほとんどです。初感染後には、三叉神経節や腰仙髄神経節に単純ヘルペスウイルスが潜伏感染します。
その後、疲労、風邪、発熱、紫外線、ストレス、抗がん剤投与など、免疫が低下した状態になるとウイルスが再活性化し、痛みを伴う水疱や紅斑を生じます。全身どこにでも発生しますが、口唇周辺、陰部、手指に多く出現します。
一旦症状が改善しても、再度免疫低下状態になるとウイルスが再活性化し、再び同様の症状を繰り返します(回帰感染)。
単純ヘルペスウイルス(主に1型)が原因です。「熱の華」ともいわれます。一度感染すると人の体内に潜伏感染して、くり返し発症します。
疲労、ストレス、風邪、紫外線を多く浴びた後などに、ピリピリとした前駆症状の後、口唇のまわり、鼻孔部、頬などに発赤を伴う小さな水疱が集まって生じます。
初感染の場合ほとんどは症状が出ませんが、乳幼児や免疫低下状態ではヘルペス性歯肉口内炎などの強い症状が出る場合があります。
多くの場合は臨床症状や経過から診断がつきますが、抗原検査や血液検査を行うこともあります。
皮疹の水ぶくれ部分を綿棒でぬぐって、HSV(単純ヘルペスウイルス)抗原を検出する検査です。5~10分程度で検査結果が判明します。
臨床的に単純ヘルペス感染症による症状かどうか判断が難しい場合や、帯状疱疹と区別が難しい場合などに診断の補助として使用します。
ヘルペスウイルスが増えるのを抑える薬(抗ウイルス薬)を内服します。
ウイルスがたくさん増殖する前に、早めに近くの病院を受診して、お薬を内服しましょう。
再発時にご自身の判断でお薬を内服することも可能になりました。くわしくは下記のPITをご覧ください。
口唇ヘルペスと同じ単純ヘルペスウイルス1型が原因で、特にアトピー性皮膚炎の方に多く発症します。
発熱とともに顔の広範囲に水疱や膿疱が多発します。症状により、抗ウイルス薬の点滴や入院が必要になることもあります。
単純ヘルペスウイルス(主に2型)が原因です。近年、性器ヘルペスでは、単純ヘルペスウイルス1型が増加してきています。
性行為によって感染することが多く、発症前に、性器に違和感や、太ももや足のつけ根などにビリビリといった神経痛が生じたり、腰がつるような痛みが生じたりすることがあります。
その後、性器や外陰部に小水疱が多発し、びらんや潰瘍になり強い痛みが出ます。2型のウイルスでは、1型のウイルスと比べてくり返す傾向が強く、1ヶ月に何回も再発する人がいます。
多くの場合は臨床症状や経過から診断がつきますが、抗原検査や血液検査を行うこともあります。
皮疹の水ぶくれ部分を綿棒でぬぐって、HSV(単純ヘルペスウイルス)抗原を検出する検査です。5~10分程度で検査結果が判明します。
臨床的に単純ヘルペス感染症による症状かどうか判断が難しい場合や、帯状疱疹と区別が難しい場合などに診断の補助として使用します。
ヘルペスウイルスが増えるのを抑える薬(抗ウイルス薬)を内服します。
頻繁に繰り返す場合には、下記のPITや、「再発抑制療法」といって、症状が出ていないときにも毎日お薬を内服して、再発そのものを抑える治療法も検討します。
医師の診察を受けることなく、患者さんが再発時に自分の判断で薬を服用することをPIT(Patient Initiated Therapy)と呼びます。再発を繰り返す場合、予め処方しておいたお薬を、症状が出た際になるべく早く服用することで、ウイルスの増殖を早期から抑制し、症状を軽く済ますことができるようになりました。つまり、現在出ている症状に対するお薬とは別に、再発時用のお薬を事前に処方することが可能です。ご希望の方は、診察の際に医師にご相談ください。
A1:「ヘルペスウイルスは神経に潜伏しており、免疫の低下した際などに神経を伝って増殖するウイルスです。塗り薬では神経のウイルスまで届かないため、効果はかなり限定的です。
治療の基本は内服薬で、早めに内服し、神経で増殖しているウイルスを早期からしっかり抑えることで、症状を軽く済ますことが可能です。」
A2:「ヘルペスを発症した際には、水ぶくれ、唾液、涙液などにウイルスが含まれています。コップやタオルなどを介して他人にうつす可能性がありますので、コップやタオルの使い回しには注意しましょう。特に水ぶくれの中にはたくさんのウイルスがいますので、水ぶくれを手で触ってつぶさないようにしましょう。
口唇ヘルペスでは、キスやほおずりでもうつす可能性があります。マスクをしておくと、手で触らないため有効です。
性器ヘルペスでは、お尻に症状がある場合、ウイルスが便座につくことがあります。お尻が直接便座に触れないようにするか、使用後はエタノールで消毒しましょう。性器ヘルペスの方が入ったお風呂につかってもウイルスに感染することはほとんどありません。症状が出ていなくても体液にウイルスが含まれていることがあるため、完全にパートナーへの感染を防ぐことはできません。性器ヘルペスのある方でも妊娠・出産は可能です。分娩時に症状がある場合は、赤ちゃんにうつさないように帝王切開を選択することもあります。くわしくは産婦人科でご相談ください。」
A3:「ヘルペスの治療は塗り薬よりも内服薬が効果的です。内服薬は、すでに増えてしまったウイルスを減らす効果はなく、ウイルスの増殖を抑える働きをします。ウイルスがたくさん増殖する前に、早めに近くの病院を受診して、内服薬を処方してもらいましょう。薬を内服しても、効果が出るまで数日症状が進む場合があります。
ヘルペスは繰り返すため、現在は上記のPITという、予め薬を処方してもらっておいて、「なりそうだな」と思った時に患者さんの自己判断で早めに薬を内服する、という治療もできるようになりました。繰り返す性器ヘルペスの場合は、再発抑制療法も検討します。」
A4:「単純ヘルペスウイルスに感染すると、ウイルスは神経に生涯にわたって潜伏感染しています。健康な時は、潜伏しているウイルスは免疫で抑えられていて活動できないため症状は出ません。しかし、疲労やストレスなどで免疫が低下して、ウイルスが活動し始めると症状が出てきます。数年に1回しか症状が出ない人から、1年で何回も繰り返す人もいます。」
A5:「残念ながら、単純ヘルペスウイルスは生涯にわたって神経に潜伏感染し、ウイルスを死滅させることのできるお薬は現時点でありません。しかし、PITや再発抑制療法といった治療も可能になってきていますので、再発を頻繁に繰り返す方は医師にご相談ください。」
A6:「単純ヘルペスウイルスには1型と2型があります。口唇ヘルペスは主に1型、性器ヘルペスは主に2型の単純ヘルペスウイルスが原因です。近年、性器ヘルペスでは、単純ヘルペスウイルス1型が増加しています。皮膚のごく小さな傷や口腔、眼、生殖器の粘膜から感染します。感染後、どちらのウイルスも神経節に潜伏感染しているため、繰り返し発症します。」
A7:「帯状疱疹も水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)というヘルペスウイルスですので、帯状疱疹もヘルペスと呼ぶことがあります。
同じヘルペスでも繰り返しやすいヘルペスが、単純ヘルペスウイルスによる口唇ヘルペスや性器ヘルペスです。一方、帯状疱疹は多くの場合、1回しか発症しません。ただし、少ないながらも帯状疱疹も2回以上発症することもあります。
その他、単純ヘルペスウイルスによる病気には、ヘルペス性ひょう疽(指に繰り返すヘルペス)、単純ヘルペス角膜炎、単純ヘルペス脳炎・髄膜炎などがあります。」
A8:「医師には守秘義務がありますので、あなたの病気について無断で他人に話すことは絶対にありません。当院には女性医師の在籍しておりますので、安心してご来院ください。女性医師の勤務時間帯をご確認ください。」
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